例えば流れるように

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残された痕跡から

 こんばんは、流手と申します。

 

 家に帰ると、部屋が綺麗に整頓されていました。ここしばらくはお互いに余裕もなく、最低限の掃除だけを済ませ、なんとか日々を生き抜いていたという感じの生活でしたが、出しっぱなしであったものが見事になくなっていたのです。

 もちろん、玩具も見当たらない。これに関しては直ぐに元通りとなりそうですが、非常に部屋が広く感じ、違和感が物凄い。

 

 ──あぁ、掃除をしてくれたんだな。

 

 そのどこか少し広くなった部屋で深呼吸をして伸びをしました。すると、視界の隅のほうでまたもや何か違和感が。

 

 ……あろうことか、私の机だけ汚い。

 

 その正体を確かめるべく、まるで吸い寄せられるように机に近付きました。

 

 

 これは明らかに誰かがパーリーをしてそのまま去っていったような……。

 

 これはいけませんよ、犯人を見つけなければならない。誰が私のポジションで、あまつさえアフタヌーンティーを愉しんでいたのかを。中途半端に残してしまったのかを。

 一瞬、ゴミを私のところへ集められてしまったのではないかと、いらぬ被害妄想を抱き、危うく疑心暗鬼となってしまうところでした。これはいけませんよ。

 

 思い付く流れは一つ。“誰か”がここでおやつを食べていた。そして、お出掛けの用事ができたのでそのまま放置して出掛けた。  

 やはり、これはいけない。犯人を見つけてこの証拠を突き付けてやらねばなりません。

 

 ……さて、犯人は誰か。

 

 ヒントとなるものは、

 

  • 残されたポテトチップス
  • 捨てられたチョコの包み紙
  • 空になった二つのチューペット
  • 一つ残ったビスコ
  • プリンセスのコップ

……etc

 

 コップとチョコから推測するに犯人は一人。そう、娘。しかし、気になる点は二つのチューペットビスコ

 果たして一人で二つも食べるでしょうか。……否! 助手がいた可能性が高い。そして、長男は毎日ビスコビスコビスコばかり言っており、謎にビスコが好物。

 

 そう、このパーティーは長女と長男が私の席で催したパーティーだったのです。

 

 

 食べていたのは問題でないんです。問題はそのまま放置されていることなんですよ……!

 本当に片付けができねぇ……。